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 先般、唯一の取引先であった某スーパーの倒産が切っ掛けで、店を閉めることになった惣菜屋さんの残務処理を引き受けた。いわゆる財産管理業務の一形態で、店舗を売却し、残債務を整理するのだ。
 そのお店は50年も続いた老舗。従業員は、家族のみで、幕の内弁当、茶そば、かつ丼、それから、ひじき、カボチャの煮込み、主人が作るらしい卵焼きが人気だったそうだ。
 店を閉めるに際しては、皆さんサバサバとした表情で、私が「後戻りできませんよ」と何度も言うが、「悔いはない」ときっぱり。故か、私がもらい泣きしそうになり、何となくウルウル・・・
 建物は年期物だが、掃除が行き届いていることが素晴らしい。本当にゴミ1つ落ちていないことに、この家族の仕事に対する心がけを垣間見た。
 閉店の張り紙は、私が作った。止めを刺した感じだが、どの事業にも何れ訪れる瞬間なのだろう。
 最終日、おいなりさんと昔懐かしきスパゲッティをお土産にもらった。1000円を差し出したが、店主は受け取らなかった。明日はない厨房の掃除に精を出す姿に思わず、頭を下げた。長い間ご苦労様でしたと。
 「問屋に迷惑を掛けるのが心残り」と店主は言った。その傍で、常連さんが握手を求めていた。
 私もそんな仕事が出来ているのだろうか、自問自答した。涙もろいのは、生まれつきだが。