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 司法書士会の会報へ投稿した文書を掲載してみました。司法書士の守備範囲は、英語で言えばファジイ、日本語で言えば玉虫色、それが魅力ですね。
 文章としては、多少難しい部分もありますが、司法書士業務に興味のある方、必見です。

 本部研修「司法書士が行う財産管理業務の新たな展開」を受講して
                                             宇部支部 林 萬 守
1 はじめに
 遅いぞ武蔵。待ち侘びた研修であった。1ケ月前からワクワク、ドキドキで、この研修に大きな期待感を持っていた。
私の事務所の登記事件数も世間の御多分に漏れず、ここ数年は見事な右肩下がりのラインを示し、過払い請求も一息、成年後見では、何故か特殊感情の縺れに巻き込まれる事件ばかりでヤレヤレ。そんな中の小さな光明、一服のオロナミンDが、財産管理業務だと考え、この研修を心待ちにしていたのだ。
 元来、司法書士は隙間産業で、「落穂拾いの司法書士」と命名されていた時期もある。言い換えれば、司法書士は、誰もやらない隙間、例えば、登記、供託、少額事件等を仕事にしてきた歴史があるのだから、財産管理業務に興味深々となるのは職業柄必然であろう。
2 司法書士法施行規則第31条
  平成14年の司法書士法改正時にこんな立派な規則が制定されていたとは、驚き木桃の木山椒の木だ。
  さあ、皆さん、私と一緒に唱和してみましょう。
司法書士法施行規則第31条 
法第29条第1項第1号の法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。
1 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務
2 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務
(3、4 省略)
5 法第3条第1項第1号から第5号まで及び前各号に掲げる業務に附帯し、又は密接に関連する業務
  なんと素晴らしい規則。目の前が開け、眼前は太平洋。大仏も開眼ですよ。司法書士に無限の未来を感じる。
以上の規則は、弁護士法の定めとほぼ同様で、財産管理業務が規定で明文化されているのは、弁護士と司法書士だけ、しかも、それは、司法書士の付随業務ではなくて、付「帯」業務だそうだ。之は正夢か?
 緊張しますね。司法書士の職責が如何に重いか、再認識させられる。市民の期待に応える義務感も沸いてくる。
 だけど、何故に規則31条はこれまで注目される事がなかったのか疑問が残る。何処かに地雷が仕掛けられているのかも知れない。何故なら、殆どの司法書士が規則31条業務を行なっていないからだ。不安ですね。
司法書士がその業務を行ってこなかった理由は何だろう?司法書士が規則を知らなかっただけ?バスコダガマの如くの冒険心がなくて新たな分野へ乗り出す勇気がなかっただけ?弁護士に遠慮しただけ?その何れかであれば良いのだが・・・
3 佐藤純通講師
  20年も前から財産管理業務を行っていたそうで、話し上手な浜っ子だ。嘗ては、日司連会長も歴任され、法改正にも関与し、本人確認業務を推進した正に司法書士のリーダーである。
  非の打ち所のない彼だが、1つだけ納得出来ない事があって、研修終了後に次の通り質問した。「何故に、日司連会長の時に、この研修をやってくれなかった?何故に、日司連会長の時に、銀行やサービサーや不動産業者に規則31条業務を言いふらしてくれなかった?今頃言い出すのは卑怯では?今からでも遅くない、もう一度、規則31条を背負って、日司連会長になって欲しい。」と。
  質問の趣旨は、日司連が規則31条を全面に出せない理由が何処にあるのかを問いたかったのだ。
  彼は、私の質問に、確か次のように答えた。聞き取りが間違っていればゴメン。「そんなことを言われると思った。だから、今、財産管理協会を立ち上げた。」と。遅いぞ純通!だけど、もっと遅いのは私かも?
4 今後の展望
  規則31条で何でも出来る、との誤解を持ちかねない私なので、今後、張り切り過ぎて非弁行為で摘発されることのないよう、自重気味のスタートを切ろうと思っている。それは、私が非弁で摘発されても、日頃の素行からして、誰も助命嘆願の署名活動などしてくれないだろうとの感触をもっているからだ。
しかし、少なくとも、不動産の任意売却、相続財産管理、任意財産管理等については、錦の御旗の規則31条で相当の理論武装が出来るので、その辺りから徐々に業務を始めて行こうと思っている。先ずは、相続における預貯金の管理が一番身近なところだろうか。
司法書士会本会においても、規則31条の実践、周知のため、財産管理に関する委員会を設置されるよう提案したい。
最後になるが、講師の着想や行動力は素晴らしい。配布された資料からも彼の仕事ぶりが窺える。そんなフロンティアな先輩司法書士を尊敬し、心強く思ったのは私だけではなかろう。